サービスカタログとは、IT部門が現在提供しているITサービスの一覧です。

サービスカタログには、サービスの名称や内容・適用範囲・利用条件などが記載され、「いま利用できるITサービスには何があるか」、「現在、どのようなITサービスを利用しているのか」を、ユーザーは素早く正確に把握でき、希望するサービスを選ぶことができます。

 

サービスポートフォリオとサービスカタログの違い

ITサービスのなかには、現在提供しているもののほかに、検討中・開発中のサービスや廃止済みのサービスもあります。

現在提供しているサービスの一覧は「サービスカタログ」、検討中・開発中のサービスは「サービス・パイプライン」、廃止済みのサービスは「廃止済みサービス」と定義され、これらサービスの提供者が管理する、すべてのサービスの一覧をサービスポートフォリオといいます。

サービスカタログは、サービスポートフォリオのなかで、ユーザーに見える部分です。サービスカタログが正確であることは、サービスの利便性に大きく影響します。

そのため、サービスカタログを常に最新版に維持する「サービスカタログ管理」が重要になります。

サービスカタログ管理とは

サービスカタログ管理とは、提供中のITサービスに関する正確な情報を含むサービスカタログを作成して、継続的に維持することです。

ユーザーはサービスカタログを見て、利用できるサービスを把握しますので、不正確な記述が存在することは、ユーザーの混乱を招きます。

そのため、サービスカタログを常に正確な状態に維持することが、サービスカタログ管理の役割となります。

具体的には、新たに導入されたサービスのサービス・パイプラインからの移行や、利用できなくなったサービスの廃止済みサービスへの移行、サービスカタログに対するサービス内容変更の反映などが主な業務です。

SLA 管理におけるサービスカタログ管理

ITIL v2において、サービスカタログ管理は、サービスレベル管理 (SLA管理)の一項目として取り扱われていました。

ITIL v3以降、旧SLA管理が「サービスカタログ管理」「サービスレベル管理」「サプライヤ管理」の3つに分けられ、サービスカタログ管理は独立したプロセスとなりました。

以前はSLA管理のなかで取り扱われていたことからもわかる通り、サービスカタログ管理はSLA管理との関連が深いプロセスです。

サービスカタログ管理のメリット

SLAの変更をユーザーに周知できる

最初に設定したSLAを遵守しているだけでは、価値のあるITサービスを提供し続けることはできません。そのため、SLAは定期的に更新されるものです。

サービスカタログは、ITサービスのユーザーと提供者の接点となるため、SLAの変更内容をユーザーに周知する役割をもちます。

したがって、サービスカタログを作成する際には、サービスレベル管理を行う前提で項目を作成することになります。

ユーザーが問い合わせをしやすい

ユーザーにとっての最大のメリットは、問い合わせが容易に行えることです。

サービスカタログが導入されていない場合、問い合わせの際に、メールや電話で状況を詳細に説明する必要があります。

しかし、サービスカタログを設定すれば、ユーザーは予め設定されているサービスの中から、利用するサービスを選択するだけでよく、問い合わせの手順が簡略化されます。

手順の簡略化は、ユーザーの利便性を向上させる大きなメリットといえます。

問い合わせの分類がスムーズになる

提供者にとってのメリットは、問い合わせの分類が容易になることです。

ユーザーからの問い合わせの多くは、ユーザー自身がその原因を理解していません。

「メールが送れない」という問い合わせの原因が、パスワードを忘れてメールアプリを利用できないことである場合も、サーバーの問題である場合もあります。

サービスデスクは、そのような問い合わせを、原因や対応によって分類し、適切な担当部門へ割り振る必要があります。

しかし、サービスカタログを設定すれば、ユーザーがメニューの中から、利用するサービスを選択するため、問い合わせがサービスごとに分類された状態で届きます。

これによってサービスデスクの負担が大きく削減されます。

サービスカタログ管理の課題

サービスカタログの導入は、ユーザー・提供者どちらにもメリットをもたらします。

一方で、サービスカタログ管理は非常に手間のかかる業務でもあります。

不正確な記述で、ユーザーを混乱させないために、細かな変更のたびに、サービスレベル管理や変更管理」などとも連携して、サービスカタログを最新の情報に更新する必要があります。

また、サービスカタログの作成も、サービスの定義、分類、フォームの作成、ワークフロー設定の工程があり、時間と労力のかかる作業です。

これらの課題を解決するために、ITSMS(ITSMに基づきITサービスを管理するツール)を導入して効率的にサービスカタログ管理を行うのが一般的です。

Freshserviceでサービスカタログ管理を簡単に

直感的なUIでサービスカタログの更新が容易

FreshserviceはITILにおけるサービスデスクが供給するプロセスを標準化する、ITIL準拠のツールです。

最新かつ直感的なUIを備えており、最小限のトレーニングで利用でき、サービスカタログ管理が容易に行えます。

サービスカタログ管理だけでなく、サービスデスクの重要な機能とされる「サービスレベル管理」「インシデント管理 」「資産管理 」「問題管理」「変更管理」「プロジェクト管理 」などにも対応しており、サービスカタログ更新の際の他部門との連携を容易に行えます。

freshserviceの管理画面からサービスカタログを管理する

サービスごとの登録・変更が容易

提供するサービスごとにカタログに登録が可能です。

問い合わせを分類するカテゴリやコスト、担当者などをテンプレート項目として容易に設定できます。

また、カスタムフィールドから自由にデザインの設定が可能で、部門またはチームごとに手軽にサービスカタログをカスタマイズし、ユーザーの利便性を向上することができます。

サービスごとにカタログのデザインをカスタマイズできる