マーケティングオートメーション(MA:Marketing Automation)とは、マーケティング活動を自動化すること、およびそのためのツールを指します。
取引前の段階の顧客(見込み顧客)に働きかけ、営業段階に移行させるのがMAの役割です。
インターネットの普及により、製品・サービスを購入・契約する際に、顧客が自身で情報収集するようになりました。
そのため、顧客が企業の営業担当に問い合わせた段階で、すでに検討が終わっているというケースも多く、販売・契約数を増やすには、問い合わせが行われる前の見込み顧客へのマーケティングが重要になりました。
しかし、見込み顧客を発見し、育成するための活動は、これまでのマーケティングに比べ莫大な工数を必要とするため、MAを活用した自動化・効率化が注目されるようになりました。
マーケティングオートメーションには、将来的に顧客となる可能性がある見込み顧客(リード)を見つけ出すという役割(リードジェネレーション)があります。
リードジェネレーションは2つの活動によって行われます。
1つは、自社の製品・サービスを認知していない層をターゲットに、SNSやSEO、デジタル広告などを用いて認知してもらう活動。
もう1つは、すでに自社の製品・サービスを認知している層をターゲットに、リターゲティング広告やホワイトペーパーダウンロード用フォームの設置・整備などを行うことで、購入・契約に関心のあるユーザーを見つけ出す活動です。
見込み客の管理(リードマネジメント)とは、リードの情報を管理して、正確で使いやすいデータベースにすることです。
リードの情報には、氏名や社名、メールアドレスのような基本情報だけではなく、見込み客の行動履歴も含まれます。例えば、どのようなルートから獲得したリードなのか、自社のWebサイトに何度訪問しており、どのような情報を求めているか、などです。
見込み顧客の分類(リードクオリフィケーション)は、見込み顧客の関心度をスコアリングする活動です。
スコアは、「価格表ページへのアクセス」や「メールマガジンの開封」といった購入・契約への関心度が高いと考えられる行動をMAがトラッキングし、それぞれの行動に点数を定めて計測します。
スコアが特に高く、成約確度の高いと見込まれるリードは、ホットリードとしてリストを作成し営業部門に引き渡します。
その他のリードに対しては、関心度や属性に応じたメールを配信するなどして見込み顧客の育成(リードナーチャリング)を行います。
獲得したリードは、タイミングによって購入・契約への関心度にばらつきがあります。
Webサイトで資料請求をしたユーザーの関心度は、請求から数日は高い状態にありますが、それ以降は急激に下がっていくと予想されます。
そこで、請求から2日後のユーザーにセミナーの招待メールを送り、そのメールへの反応を見て、事例紹介の資料をメールで送ったり、営業によるテレアポをしたり、といったアプローチを実施します。
こうしたユーザーへの働きかけによってユーザーの関心度を高める活動を、見込み顧客の育成(リードナーチャリング)といいます。
MAを使わずにリードナーチャリングを行うには、人力でリード状態を個別に把握して適切なアプローチをしなければなりません。リードの数が少なければ対応できても、何十人、何百人ものリードに対応するのは不可能でしょう。
MAを導入することで、リードの状態をリアルタイムに把握し、アプローチを自動化することができます。
例えば、資料請求したユーザーに対して、何日後にどのメールを送るかを設定しておくこともできます。さらに、送ったメールが開封された時刻、同封した資料が閲覧されているかなど、人力では把握しようもなかった情報まで入手して、一定水準の見込みスコアを超えた場合には、自動で営業に通知するよう設定することもできます。
このように、メールの配信や営業担当者に対する通知の自動化によって、リードナーチャリングを効率化することがMAの最も重要な役割です。
見込み顧客の創出、分類、管理、育成という役割を果たすために、MAには様々な機能があります。
MAの機能は、リード管理や自動メール送信のような、従来の業務を効率化するものだけでなく、メールの開封状況の確認や、サイトの訪問回数、閲覧時間など、ツールなしで把握することができなかった情報を容易に入手できるようにするものもあります。
こうした機能により、MAの導入は、単なる業務の効率化にとどまらず、マーケティング活動自体の効果を向上させることにつながります。
MAには、BtoB向けのものと、BtoC向けのもの、どちらにも対応できるものがあります。
BtoBでは、上長や別部門の承認などが必要になるので、購入までに数ヶ月~数年程度かかることが少なくありません。
そのため、顧客のステージに合わせたアプローチを継続的に行わなければならず、見込み顧客のステータスや見込み度のスコアリングなど、詳細に顧客情報を管理する機能が重要です。
一方でBtoCでは、顧客個人が購入するかを判断するので、購入までにかかる期間が短いのが特徴です。そのため、複雑なシナリオ設定よりも、接触回数の増加による印象付けが重要で、SNSやWeb広告など幅広いメディアでの広告活動を支援できる機能が必要になります。
検討しているMAツールがBtoB、BtoCどちらに適したものなのか、もしくは両方に対応できるものなのかを確認しましょう。
MAは製品ごとに導入・運用の費用が大きく異なります。
初期費用が無料のものもあれば、100万円以上するものもありますし、月額費用も数万円~数十万円と開きがあります。
一般的には、高額なものほど多機能な傾向にありますが、使いこなすにはマーケティングの専門的な知識や第三者によるコンサルティングが必要になります。また、見込み客があまり多くない内は、高度な顧客スコアリング機能やシナリオ設定は不要です。
自社の事業規模や予算に合わせて、必要な機能を備えたツールを選択しましょう。
営業の効率化や顧客との関係強化のために、すでにCRM やSFAを導入している企業は少なくありません。
こうした企業で後からMAを導入する場合、全ての情報を移行してツールを一本化するにしても、これまで使用していた管理ツールと併用するにしても、ツール間でのデータの共有が必要です。
導入するMAが連携できるツールやデータのインポート方法はMAを選択する際には必ず確認しなければなりません。
国内の代表的なMAとしては、Freshmarketer、SATORI、Marketo、SHANON MARKETING PLATFORM、freshsalesなどがあります。
ツール名 |
初期費用 |
月額費用・料金プラン |
向いている形態 |
導入企業(一例) |
---|---|---|---|---|
Freshmarketer |
無料 |
4プラン Free:0円 Growth:¥2,600 Pro:¥19,700 Enterprise:¥39,500 (1ユーザーあたりの月額) |
BtoB/BtoC |
・本田技研工業 ・ヒューレット・パッカード ・CISCO |
SATORI |
300,000円 |
148,000円 |
BtoB/BtoC |
・アデランス ・株式会社エムエム総研 ・DM SOLUTIONS |
Marketo |
個別に見積もり |
個別に見積もり |
BtoB/BtoC |
・日立製作所 ・SONY ・FUJIFILM |
SHANON MARKETING PLATFORM |
非公開、要問合せ |
非公開、要問合せ |
BtoB/BtoC |
・NTTソフトウェア ・野村総合研究所 ・SB C&S |
「Freshmarketer」はマーケティングの自動化、連絡先管理機能、チャットボット機能などを備えたMAツールです。顧客とのやりとりを一箇所にまとめるCRM機能を内包しており、顧客の360°ビューを提供します。
「アンノウンマーケティング」という機能を搭載したリードジェネレーションに強いツールで、匿名のリードもデータベース化し、実名のリードとは別のアプローチを行い、獲得をサポートします。
また、Freshmarketerに優れたCRM / SFAであるfreshsalesの機能を追加したオールインワンのクラウドツールFreshsales Suiteも選択できます。
初期費用:無料
月額費用・料金プラン(1ユーザーあたりの月額):
Free:0円
Growth:¥2,600
Pro:¥19,700
Enterprise:¥39,500
「SATORI」は、株式会社SATORIが提供する国産のMAツールです。サポート体制が充実しており、国内で900社以上の導入実績があります。
「アンノウンマーケティング」という機能を搭載したリードジェネレーションに強いツールで、匿名のリードもデータベース化し、実名のリードとは別のアプローチを行い、獲得をサポートします。
初期費用:300,000円
月額費用:148,000円
「Marketo」は米国発のMAツールで、「マーケティングオートメーション」という仕組みを広く普及させた企業の製品です。世界の5000社以上で導入されており日本国内でも、日立製作所、SONY、FUJIFILMをはじめとした多くの企業で導入されています。
機能の網羅性が高くマーケティング全般を包括できるツールです。また、One to Oneのコミュニケーションにより、顧客それぞれに適切なコンテンツを自動的に届けられる点が強みです。
初期費用・月額費用:個別に見積もり
「SHANON MARKETING PLATFORM」は株式会社シャノンが提供する国産のMAツールで、国内で900以上の導入実績があり、NTTソフトウェアや野村総合研究所をはじめとした多くの大手企業で導入されています。
基本的なMA機能に加えて、セミナーやイベントの管理などアナログ接点の管理も充実しているのが特徴です。
初期費用・月額費用:非公開、要問合せ
Freshsales Suiteは、優れたCRM / SFAであるfreshsalesにfreshmarketerのMA機能を追加した、オールインワンのクラウドツールです。他製品ではオプションでしか利用できない機能もFreshsales Suiteのみで利用でき、運用時の製品価格を大きく抑えられます。
設定が驚くほど簡単で、最短1日で運用を開始できるのも特徴で、リードジェネレーションから顧客関係管理まで、セールス・マーケティングプロセス全体をカバーします。
Freshsales suiteは、メール管理や顧客の行動履歴の追跡・保存機能の他に、リード管理、Webフォームの構築、顧客スコアリング、チャットボットなど充実したMA機能を備えています。
例えば、自動車のディーラーが購入した中古車の車検日を記録しておくことで、「車検日までの日数が2カ月を切った顧客」に自社の車検を案内するメールを自動送信するような設定が可能です。
さらに、送信したメールの開封状況や、メール内リンクのクリック率計測、顧客の自社サイトへの訪問回数・閲覧時間などのトラッキング情報を顧客データベースに反映し、リードの獲得や見込み客へのアプローチを強力にサポートします。
「商談履歴のある顧客」のような契約に近い段階の顧客が再度Webサイトに訪問した際、営業担当者に自動で通知するように設定する、といったことも可能です。
Freshsales suiteは、MAとしての機能に加え、顧客情報管理やメール管理、CTI機能、ワークフローの自動化などのCRM機能と、商談・案件管理、販売目標の設定、売上予測、予実管理機能などのSFA機能も備えています。
直感的で扱いやすいUIを備えており、ツールの利用に習熟していない社員でも簡単に利用可能。モバイル端末での操作にも対応もしており、商談後の移動時間などに、必要な情報の入力も容易に行え、CRM/SFA導入時の現場社員の負担を最小限に抑えます。
そして、様々な条件をトリガーとして、営業活動のタスクを自動化します。
例えば、自動車のディーラーが、車検が近づいている顧客に対して、自社の車検サービスの宣伝をしたい場合、「車検日までの日数が2カ月を切ったこと」をトリガーとして、顧客に対し自動でメールを送るように設定することができます。
この際、メールの冒頭で「○○ 様」や「営業担当の○○です」といった動的な内容を出力させることも可能です。
Freshsalesは、初期費用無料で導入できるにも関わらず、入力項目やインターフェースなども細かくカスタマイズできるCRM/SFA機能を備えたMAです。
多くの企業で利用される項目があらかじめ準備されているほか、自動車ディーラーが利用する「車種」「年式」「車検日」のような業界特有の項目も、入力方法の設定を含めて自由に作成できます。
必須項目が入力されていなかったり入力規則違反が見受けられたりした場合に、エラーメッセージを表示するように設定することも可能です。
競合製品に比べ6割から最大1/5の価格比と月額費用も格安なFreshsales suiteは、コストを抑えつつカスタマイズされた独自のCRM・MA運用を実現します。
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