営業の売上予測とは

売上予測とは、過去の売上実績や自社の成長率、市場の動向などのデータに基づいて、今後の売上を予測することです。

営業部門において売上予測は重要です。目標通りに売上が推移しそうなのであれば問題はありませんが、予測値が目標を下回った場合、マネージャーを中心になんらかの軌道修正を行わなければなりません。

また、営業部門で集計された売上予測は、企業経営にも活用されます。具体的には今後の事業展開や予算・人員の分配、借入金額など、意思決定を下す根拠となります。売上予測が正確でなければ、的確な意思決定をすることはできません。

そのため、客観的に計測された正確な売上予測が必要なのです。

 

売上予測が重要である理由

適切な予算管理を行うため

広告費や営業人員の採用費、設備投資などの予算の配分は売上予測に基づいて行われます。

また、企業は売上予測に基づいて資金調達や借入金の返済計画を立てますので、実際の売上が予測を大幅に下回ってしまうと、資金繰りが破綻し、経営危機に陥ることもあります。

営業部門における売上予測の正確さは、企業経営に関わる重要な要素なのです。

適切な人員配置を行うため

人員の配置にも売上予測は深く関係しています。

人員が不足すれば、顧客対応に不手際が生じ、クレームが発生したり、契約機会を逃したりします。そのため、現状を超える売上が予測される部門には、追加の人員が必要になります。

逆に、必要以上に人員を抱えている部門は人員削減や配置転換が必要です。

営業担当者やカスタマーサクセスに割り振るべき案件がない場合は、テレアポ等の負荷の高い業務を任さざるを得ず、モチベーションを下げる原因になるからです。

適切な在庫管理を行うため

人員と同様に、製品の仕入れ量や生産量も売上に応じて変化するものです。

実際の売上げが予測を上回れば、生産・販売が追いつかず、商機を逃してしまいます。

逆に、売上げが予測を下回れば、過剰な在庫を抱えることになります。

適切な売上予測に基づき、必要な調達・生産計画を立てる必要があるのです。

売上予測の方法

売上履歴からの予測

過去の売上実績と成長率から計算するのが、最もシンプルな売上予測の方法です。

中でも基本となるのは、以下の式による計算方法です。

売上予測=昨年の売上+(昨年の売上×年間平均成長率)

例えば一昨年の売上が1000万円、昨年の売上が1100万円なら、年間平均成長率は10%です。

これらを式に当てはめれば、1100万円+(1100万円×10%)=1210万円なので、これが今年の売上予測となります。

2年間だけでなく、さらに長期のデータを参照すれば、より正確な成長率を求められるので、売上予測の精度が上がります。

営業パイプラインからの予測

営業パイプラインを用いれば、売上実績と成長率から計算するシンプルな方法よりも、正確な売上予測を立てられます。

営業パイプラインとは、「問合せ」→「ヒアリング」→「新規提案」→「見積り」→「クロージング」→「成約」というように、営業活動をフェーズ分けしたものです。

営業パイプライン 営業パイプライン

営業パイプラインを活用するためには、まず過去の実績から、フェーズごとの推移率を記録・分析します。

この推移率に現時点で各フェーズにいる顧客の人数や、過去の実績に基づく想定問合わせ数を掛け合わせることで、詳細な売上予測が可能です。

営業フェーズ
次のプロセスへの推移率
現在の件数
今月の予測成約件数

問合せ

70%

100件

6件

(100×70%×70%×60%×40%×50%)

ヒアリング

70%

60件

5件

(60×70%×60%×40%×50%)

新規提案

60%

30件

4件

(30×60%×40%×50%)

見積り

40%

20件

4件

(20×40%×50%)

クロージング

50%

10件

5件

(10×50%)

成約

-

-

-

合計

-

-

24件

各営業フェーズに存在する、現在の顧客数と次のプロセスへの推移率から、今月の予測の成約数を算出することができます。仮にこの商品の平均成約単価が10万円だとすれば、今月の売上予測は10万円×24件=240万円となります。

ただし、これは大幅に簡略化した計算例です。

実際には、月内に新規で問合わせが入りますし、新規の問合わせからの成約だけでなく、リピート顧客の購入や、解約による売上の変化もありえます。また、問い合わせから成約までの期間(リードタイム)が長く、月ごとの計算では集計できない顧客もいるため、正確な売上予測を行うためには、より複雑な計算が必要です。

具体的には以下のような情報を常時収集し、集計する必要があります。

・潜在顧客が自社のサービスに興味を持つまでの期間

・リードタイム

・契約期間

・更新率

・解約率

またこれらのデータは、担当商品ごと、営業チームごとに細分化して収集すべきです。

正確な売上予測を行うためのポイント

営業担当者全員の行動を正確に記録する

過去に各営業担当者がどれだけ電話や訪問をしたら、どれだけ案件化し、いくらの売上になったのかを正確に把握できていなければ、営業パイプラインのフェーズごとの推移率や成約率は分かりませんので、正確な売上予測を立てることができません。

そのため営業担当者による日々の行動と成果を漏れなく収集し、管理できるような仕組みを整える必要があります。

成約後の顧客データも記録する

正確な売上予測を行うためには、新規の成約に加えて、リピート顧客の購入や解約・更新などによる売上げの変化も考慮する必要があります。

成約後の顧客のデータをトラッキングして、再購入する顧客の傾向や平均契約期間などを収集する必要があるのです。

そのためには、新規営業のデータだけでなく成約後の顧客関係管理の活動や成果も、漏れなく収集し、管理できるような仕組みを整える必要があります。

売上予測を大幅に簡略化するCRM/SFA

営業担当者の活動や成果、成約後の顧客関係管理を行った上で、それらのデータを集計し売上予測を計算するのは、大変手間のかかる作業です。

売上予測の計算だけならExcelを活用することも可能ですが、事業の規模によっては膨大なデータ量となりExcelでは処理しきれなくなることもあります。また、それほどの量のデータをリアルタイムでExcelに入力して管理する作業は大変な労力を必要とします。

そこで活躍するのが、CRM (Customer Relationship Management:顧客関係管理)やSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)です。

ExcelとCRMを使った管理の比較 ExcelとCRMを使った管理の比較

CRMは、顧客との関係性を管理することで、顧客と継続的で良好な関係を構築するためのシステムです。また、SFAは営業担当者が商談を開始してから受注に至るまでの活動を支援するシステムです。

登場当初はそれぞれ別々のシステムでしたが、管理するデータが共通することから、近年は両者の機能を備えたツールが主流になっています。

どちらのツールも、営業活動を支援するために、営業担当者の活動履歴の記録、担当者の売上集計、顧客情報管理機能などを備えており、通常の運用をするだけで、売上予測に必要なデータをリアルタイムで収集することができます。

また、CRM/SFAによっては、売上予測機能が実装されているものもあり、複雑な計算を自動化することができます。

正確な売上予測を支援するCRM:freshsales

売上予測機能

売上予測 売上予測

freshsalesは、営業担当者の活動履歴、成約までにかかった期間や売上、顧客ごとの契約期間や更新・購入回数などのデータをもとに、指定した期間の売上予測を自動で算出します。

商品や営業チーム、担当者ごとの売上予測も算出可能で、経営方針や人員配置の基準として、あるいは営業チーム内での活動指針として活用することが可能です。

パイプライン管理機能

パイプライン管理機能 パイプライン管理機能

freshsalesは、営業チームや販売する製品に合わせてカスタマイズ可能なパイプライン管理機能を備えています。

「問合せ」→「ヒアリング」→「新規提案」→「見積り」→「クロージング」→「成約」など、営業活動のフェーズ分けを行い、フェーズごとの、顧客の状況や推移率を集計・記録することで正確な売上予測を可能にします。

またこれにより、売上予測の結果、目標が未達になりそうであった際に、営業パイプラインのどこに課題があるのかが可視化されます。例えば、そもそも初回の商談が不足している場合はメールマーケティングの配信頻度を増やす、提案後に離脱している案件が多いようであればプレゼンテーションのロールプレイを実施する、といった打ち手を検討する事ができます。